海苔のおはなし

第20話 俳句の中の海苔

海苔は一年を通して気軽に食べる事ができるので、あまり旬を気にしたことがないかもしれません。しかし海苔にもお米や野菜などのように収穫時期があります。
春ごろから丹精こめて育てた海苔種は10月ごろから海の養殖場に種付けされ、摘み取りは11~3月頃まで続きます。シーズンの初め11~1月ごろまでに摘み取られた海苔は「新海苔初摘み」と呼ばれ、やわらかくて香り高く珍重されます。

冬に旬を迎える海苔は俳句の中では季語として使われます。古い歴史を持つ海苔は万葉集の歌の中で詠まれ、現代に至るまで様々な句の中で詠まれています。江戸時代から明治時代にかけて数々の名作を残した俳人、松尾芭蕉、与謝蕪村、正岡子規らの海苔が季語として使われている句を紹介します。

「衰(オトロヒ)や 歯に食(クヒ)あてし 海苔の砂」
松尾芭蕉【1644-1694】

江戸時代初期の海苔は、まだ養殖技術も普及しておらず、今のような抄き海苔ではなく、天然の海苔をそのまま素干しにしたものでした。この頃の海苔には砂が混じっていることもままあったことがうかがえます。芭蕉はその砂を噛んで歯に痛みが走ったことで自らの体の衰えを感じたようです。

「海苔掬く(スク)ふ 水の一重や 宵の雨」
与謝蕪村【1716-1783】

江戸中期になり海苔の養殖が始まると、生産量も増え庶民の間で親しまれるようになりました。海苔を細かく刻んで和紙のように「すいて」作る、「すき製法」が行われるようになり現在の板海苔が登場し、江戸でブームになりました。

「海苔麁朶(ソダ)の 中を走るや 帆掛舟」
正岡子規【1867-1902】

明治維新後、正岡子規の俳句にも海苔掻きの様子が伺える俳句があります。当時は、麁朶(そだ)とは糊の種付けをする棒状のものです。海苔の養殖は発達したものの、小さな帆掛舟に乗って凍るような冷たい海水に手を入れ摘み取っており、一度にたくさんの海苔を採る事ができず、人の手で少しずつ摘んでいました。当時の海苔の採取は、今と違い大変十労働なものだったのです。

異なる時代に詠まれた句を通して、その時代の海苔についてうかがい知れることができます。

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