海苔のおはなし

第41話 海苔の一生

年間を通していつでも気軽に食べることができる海苔。だからといって一年中海で海苔を収獲できるわけではありません。海苔の摘み取りは1年のうちで11月から4月頃までの時期に限られます。新海苔の摘み取りは11月頃から始まり、陸揚げされた海苔は加工場に運ばれ板海苔に加工されます。その年初めて摘みとった海苔は風味豊かで柔らかく、一番摘み海苔と呼ばれ珍重されています。毎年11~4月の間に収穫、加工された海苔が1年間私たちの食卓にのぼるのです。では、春から秋にかけて海苔はどのように過ごしているのでしょうか。

海苔は、成長して収獲できるまでに1年間を要します。海苔の1年間のライフサイクルのスタートとなるのが春から夏。養殖では、この時期に海苔のタネの元となる“フリ―糸状体”をカキ殻の中で培養していきます。秋になり海水温が下がり始めると、成長した糸状体は分裂し海苔のタネにあたる“殻胞子”を放出します。この“殻胞子”を網に付ける作業をタネ付け(採苗/さいびょう)と呼び、網に直接タネ付けをする“陸上採苗”と、海苔網にタネを培養していたカキ殻を吊るして海の中でタネ付けをする“海上採苗”の2種類があります。このタネ付けは養殖の最初の難関です。

網に付いたタネが約2cmに成長してきたところで、一部の網を残して、残りの網は冷凍保存します。生産者にとってこの“育苗期”が最大の難関となります。残暑や台風などの影響で気候が不安定なため水温、気温が急激に変化することもあり細心の注意が必要となります。漁場の網についたタネは順調にゆけば海の中で“葉体”となり、約2週間で20cm程度まで成長し1回目の収獲ができます。同じ網で4回程収獲を重ね、冷凍保存をした網と取り換え4月頃まで収獲を繰り返します。

養殖は江戸時代後期に始まりましたが、当時は春から夏にかけての海苔の生態が解明されておらず、海水温が下がり始める秋口にヒビと呼ばれる棒状のものを漁場にさしておくと自然に海苔がヒビに貼りつき成長するといった、不安定な方法が長い間、行われていました。海苔の生態は1949年にイギリスの海藻学者キャサリン・メアリー・ドゥルー女史(1901~1957)が発見したことを契機に、熊本県の研究所で研究が進められ、養殖技術が飛躍的に発展しました。養殖技術は熊本から全国に広まっていきました。戦前は海苔の生産といえば東京湾が中心でしたが、東京湾の埋め立てや海の汚染などの影響で東京近郊での海苔生産量は衰退し、この頃から九州有明海での生産量が急速に増えていきました。今では国内の海苔生産量の1/4が有明海となっています。

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