海苔のおはなし

第59話 芸術家と海苔(1)

北大路魯山人(1888年〜1959年) — 日本の芸術家。書道家・篆刻家(印章の製作)・絵画家として才能を開花させた魯山人は、その活動の過程で、食器や美食に対する見識も深めでいき、1921年には会員制食堂「美食倶楽部」を発足し、自ら厨房に立ち料理を振舞う一方で、使用する食器を自ら創作するなど、晩年まで、陶芸家・料理家・美食家などの様々な顔を持っていた芸術家です。魯山人の食器などの作品を展示会で見たことのある方も多いのではないでしょうか?また、人気グルメマンガの中で、魯山人のエピゾードなどが登場することもあるので、名前を知っている方もいらっしゃるでしょう。

魯山人が食に並々ならぬ興味を持っていたことは、彼の著書「春夏秋冬料理王国」からも伺い知ることができます。そしてその著書内で、魯山人は「海苔の茶漬」について記述しています。

海苔の茶漬
魯山人の海苔茶漬生海苔が手に入るのであれば生海苔を生醤油でことことと煮詰める。手に入らぬ土地の人は、焼き海苔を醤油で煮る。ねちねちと煮えたものを暑いご飯にのせて煎茶をかける。それに少量のワサビを入れるそれだけでいいので、海苔の茶漬ほど簡単なものはない。酒の後などで食べるには、至極適した茶漬と推奨できる。
もっと簡単なのは、海苔をうまく焼いたものか、焼き海苔の上等なものを熱いご飯に揉みかけ、その上に醤油をたらし、適当にワサビを入れて茶をつげばいい。一椀についての海苔の分量は、せいぜい一枚か一枚半を使う。これは、朝によく、酒の後によく、くどいものを食べた後にはことさらいい。多忙の時の美食としても効果がある。

また、魯山人はその著書の中で「海苔の焼き方」についても記述しています。「コンロで海苔を焼く際、コンロの熱版に含んでいる湿気がなくなるまで待ってから焼く心得があってほしい。そうすれば、存外素人でもうまく焼けるものである」。美食家というと高級食材を好むというイメージがありますが、彼はひとつひとつの食材をおいしくいただくことに力を注いだ美食家でもあったことが伺い知ることができます。

日頃、忙しさを理由に食事を簡単に済ましてしまうことも多いですが、魯山人のように、日本の四季折々の豊かな素材を慈しみ、その素材の美味しさを引き出して、食事を楽しみ料理を味わいたいものですね。

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