海苔のおはなし

第61話 昭和初期の海苔生産者の一日

現在の海苔の生産は、ほとんどの工程で機械が導入されています。しかし、機械が導入される前までは、すべて手作業で行われていました。海苔生産者は、海苔の収穫シーズンになると、毎日「海苔取り」や「乾し海苔作り」の作業を行っていました。今回は、機械が導入される前の海苔生産者の一日の作業をご紹介します。

海苔生産者の一日の作業

海苔生産者の一日の始まりは早く、「乾し海苔作り」の最初の作業「海苔切り」から始まります。収穫した生海苔はなるべく早く"乾し海苔"の状態にしないと傷んでしまうため、生海苔を取った翌日の早朝からこの作業を行いました。深夜2時ぐらいに起き、"つけ場"とよばれる作業部屋でケヤキの大きなまな板の上に生海苔をのせ、両手に包丁を握り、交互にたたくように刻みました。"乾し海苔"を薄く平らに仕上げるため、生海苔を細かく刻まねばならず、かなりの時間を要したようです。

その「海苔切り」の作業が終わると、その細かく刻んだ海苔を水に溶かしすくって、一枚一枚の簾につける「海苔付け」作業を行いました。この「海苔付け」は、1海苔生産者(1農家)あたり一日で数千枚は行われていたようです。その当時、次の工程「海苔乾し」は天日乾燥が主流で、冬(海苔の収穫シーズン)の陽射しで海苔を乾すには、朝日が出る前にこの「海苔切り」と「海苔付け」の作業を終える必要がありました。

朝日が出るころになると、海苔付けした簾を一枚一枚、外の海苔乾し台に貼りつけ「海苔乾し」を行いました。そして、午後になると、乾いた海苔を簾から取る「海苔はがし」、その海苔を出荷用にたたむ「海苔たたみ」を行って出荷しました。ここまでの作業が、「乾し海苔作り」です。
この作業の他に、明日の「乾し海苔作り」の作業のため、海での「海苔取り」、収穫した海苔を海水で丁寧に洗う「海苔洗い」を行っていました。

収穫シーズン最盛期は、子供も含め一家総出でこの一連の作業は行われ、忙しい時は午前0時ぐらいから海苔作りの作業が行われていたようです。海苔生産者が多かった地区では、その作業を子供が手伝っていることを考慮し、学校が特別な時間割を作成したほどでした。

収のように、すべての工程が手作業だった頃の海苔作りは、手間のかかるかなりの重労働であり、天候などにも左右される作業でした。当時の工程をみれば、"乾し海苔"がいかに高級品であったこともわかりますね。
その後、海苔作りの道具の改良が進み、現在は機械化が導入されている海苔生産。手作りの時代の1日の工程を1時間で行えるようなり、海苔の安定供給につながっています。しかし、道具は変わっても、その工程自体は手作業の時代と変わっていません。当時の海苔生産者の努力から生まれたノウハウや技術が、現在の生産の中にも活かされています。

業務用商品のご案内

浦島通信

浦島海苔オンラインショップ

株式会社日本海水