海苔のおはなし

第69話 「海苔の成長のしくみ」の解明と「人工授精」の成功

現在の海苔養殖は、海苔の胞子を貝殻に潜らせて糸状に成長させ、そこで生まれた胞子を海苔網に付着させて育てる「人工採苗」という方法で行われています。昭和20年代後半、学者や研究者によって「海苔の成長のしくみ」の解明と「海苔の人工授精」の成功で、現代の海苔養殖は可能になりました。

それ以前の江戸時代から行われてきた海苔養殖では、「海苔は、稲の実る頃から現れて、春にはどこかへ行ってしまう」というように、夏の海苔の生態に関しては不明でした。海苔の種付けが行われるようになっても、どこに種があるのかはしっかりと把握しておらず、「海苔の種がありそうな場所に種付けにいく」という不確かなもので、種があるだろうという場所も、年や気候によって大きく当たりはずれがありました。

「海苔の成長のしくみ」の解明の一番の功績は、今までの「海苔のおはなし」でも登場しているイギリスの海藻学者ドリュー女史が、夏の海苔の生態を発見したことです。 「海苔は、冬には私たちが知っている海苔のカタチ(葉状体)になり、夏には貝殻の中で糸のように成長する(糸状体)」という、それまで不明であった「海苔の成長のしくみ」の全容をひも解く鍵になりました。

この発見は、日本における「海苔の人工授精」の成功へもつながりました。この発見をドリュー女史本人から知らされた九州大学水産学部の瀬川宗吉教授は、学生と一緒に、卵の殻を使ってこの実験を行い、殻の中に糸状体を確認。そして、その事実を瀬川教授から聞かされた熊本県水産試験場の太田扶桑男は、知り合いと共に私財をなげうち、大規模な実験を重ね、昭和27年に海苔の人工授精に成功します。太田扶桑男は、多くの海苔農民に役立ててほしいと、特許を取ることをしませんでした。その結果、「人工採苗」は全国に広まりました。

このように、学者や研究者による「海苔の成長のしくみ」の解明と、「海苔の人工授精」の成功によって、今までの種がどこにあるか不明なのに種付けをしていたという不思議な海苔づくり終わり、海苔の一生を管理して養殖が行えるようになりました。その結果、海苔養殖は飛躍的に進歩し、現代の海苔養殖が可能になりました。私たちが、毎日美味しく海苔をいただけるようになったのは、彼らの功績が大きいですね。

業務用商品のご案内

浦島通信

浦島海苔オンラインショップ

株式会社日本海水